人気ブログランキング | 話題のタグを見る
2010年 01月 14日
建築系ニュース・ウェブマガジン
建築系のニュースサイトは、メジャーなところはほとんど知っているつもりでいましたが、
つい先日同僚に教えてもらって初めて知ったのが、

Architype Review

目的のタイプごとにまとめられていて、
見やすくていいです。

まずはプロジェクト・タイプごとにまとめたもの。
例えば、今号は劇場特集、みたいな。

あるいは、マテリアルごとにまとめたもの。

そして、建築系ウェブサイトのリンク一覧

ありそうでなかったまとめ方。
リサーチなどには便利。
この手のサイトでは一番見やすく使いやすいもののひとつだと思う。

# by ogawa_audl | 2010-01-14 11:26
2010年 01月 13日
マーケティング
不況です。
シアトルでも、お店がつぶれたりしてます。
それが行きつけの店の場合、結構痛い。

さて建築設計の分野でも、急にプロジェクトが止まったり、ということも珍しくなくなりました。
でも、社員のお給料を払おうとすると、ある程度の数のプロジェクトが必要なわけで。
先週あたりから、プロポーザルが複数動きまくってます。
メインのプロジェクトを無視して急に呼ばれたりします。
私も今朝からプロポーザルの仕事に呼ばれました。

まだプロダクションが全然始まってない段階で呼ばれるのは、
デザインをやらせてもらえるのでいいんですが、
今回はスケジュールが厳しすぎる。
締め切り今週末って。
当然のように、「末」をつけるって。
「週末もがっつり働いてね」という宣言なわけで。
競争相手のファイナリストの事務所にビッグネームが含まれているので、
ちょっとテンションは上がっているので、短距離走がんばります。

設計というビジネスは、待っていても仕事は来ない。特に不況時は。
ハンティングに出かけて見事獲物を捕らえないといけない。
そこが厳しいところ。未来が不確定なので。
がんばったのに取れなかったらゼロ。むしろ費やした時間と費用の分、マイナス。
バブル時だけは、仕事がじゃんじゃんやってきたりするんですけどね。

景気は定期的な波だと言われますし、
現状の資本主義経済では、バブルの発生とその後の不況が避けられないなどと言われたりします。
もしこの上下が今後も続くのであれば、不況時のビジネスモデル、好況期のビジネスモデル、
と二つのモデルを持っていたほうがいいのかもしれないと思ったりします。どんな分野に限らず。
夏時間と冬時間、みたいな。
個人では不況時の余った時間に勉強するとか、研究するとか、スキルをつけるとか。
で、好況になったときに、バーンとパワーを開放。

# by ogawa_audl | 2010-01-13 15:52
2010年 01月 10日
Kinetic Facade
以前、テクニカル系の同僚Danが教えてくれたHoberman Associatesのサイトが面白かったので、
動くファサード特集として紹介。
Hoberman Associatesは環境テクノロジーや、ちょっと変わった動く構造体をつくっているNYにある会社。

Hobermanとハーバード大が作ったAdaptive Frittingは、
ドットが規則的に並んだガラスを何層かに重ね、それぞれのガラスを少し動かすことで、
新しいパターンや、ドットの密度を増やしてフリット・ガラスの密度を変えるというもの。




Hobermanの動くサン・シェイドでは、他にも、フォスター日建設計のプロジェクトでも協働している。
Hoberman Sphereという球状の立体が小さくなったり大きくなったりするオモチャなんかもつくっている。
どうやらフラーの遺伝子というか教え子のようです。

このHobermanという会社は、フラーとの関係もあってか、環境とデザインをうまく融合させている面白い組織だと思う。
Hobermanは、別にAdaptive Building Initiativeという会社を、Buro Happoldという会社と共同設立している。
ちなみにBuro Happoldは、Jean Nouvel設計のアブダビのルーブル美術館のエンジニアを担当している。
またAdaptive Building Initiativeは、ハーバード大の環境技術研究機関であるWyss Instituteとの協働もしている。

動くファサードの例ではこんなものもある。オーストリアの建築家Giselbrecht + Partnerによるもの。


風になびくファサード。カリフォルニアの芸術家Ned Kahnによるもの。
日本でパチンコ屋のファサードで似たようなものを見たことがあるが。。


# by ogawa_audl | 2010-01-10 09:56
2010年 01月 10日
早い者勝ち
同僚からメール。

このプロジェクト見てたら、お前がやってたコンペ案を思い出したぜー」

確かに目的は違えど、基本的なアイデアは似ている。
パブリックな場所に先に出たものの勝ちなので、私の負けー。
でも自分の中では過去のアイデアなので、あんまり気にならない。
新しく絵にしたいアイデアがいろいろある。それに手をつける時間はしばらくなさそうだけど。

# by ogawa_audl | 2010-01-10 09:19
2010年 01月 10日
日本らしさとグローバル化
毎日新聞の記事、特集ワイド:この国はどこへ行こうとしているのか 建築家・磯崎新さんで、
私が個人的経験とか空気からなんとなく感じていたことと、ほぼ同じことを磯崎氏が語っておられた。
自分の思考とか感性はそこそこ信頼してもいいかもなと思った。まぁ現実はそう簡単ではないのであるが。

以下抜粋
「僕はこの鎖国状態の期間を『和様化の時代』と呼んでいいと思います。
 歴史を見れば、和様化の時代は、輸入した海外の技術を徐々に日本化していく時期にあたります。
 今はこの和様化、つまり『日本化』を徹底する時期だと思いますね」

「日本には、海外でグローバルスタンダードを作ることができる外向きの人々と、
 国内で和様化を洗練する内向きの人々がいます。外向きの人々は企業でも個人でも、
 世界の一部分としてしか動けないから、どんどん海外へ行けばいい。
 日本にとって意義あることは、ダブルスタンダード、つまり役割を分担して外向きと内向きを
 ともに推し進めることだと思います」


ここからは私の勝手な考え。
国土交通省に観光庁という機関が数年前に出来た。
簡単に言ってしまえば、海外から日本にやってくる外国人観光客にお金を落としていただこう、というものだと思う。
日本のイタリア化、ポルトガル化などと言われる昨今、選択肢のひとつではあると思う。
実際、私の周りの外国人の友人たち(アメリカ、インド、ドイツ、チェコ、台湾、ベルギー、ハンガリー)は、ほぼ100%の割合で、
日本へいつか行ってみたい、もう一度行ってみたい、と言っている。

では海外からの観光客は、何を体験しに来るのか?
それは、インターネットなどでは得られない、生身の物理的な体験だろう。
つまり、日本の文化、人、食、自然、街、建築など。

ここで、和様化、日本らしさという観点から、建築と街について考えてみる。

まずいわゆる「和」のデザインというものがある。
ほかの国では見られない、あるいは成立しえない、日本独自のデザイン。
現代の都市は、高密化による高層化が進んでいる。
当然背の高いビルディングが生まれているわけだけど、
これぞ「和」のデザイン、といえるような高層建築にはなかなかお目にかかれない。
ディテールの洗練や清潔さなどは日本独自のものと言えるが、大まかなデザインはアメリカの都市で見られるビルと大差ない。
シンプルなガラスの箱。

菊竹清訓氏の講演をまとめた文章をネットで見つけた。
「建築領域から観た日本文化の存在感」(2003年)
(世界の建築デザインの歴史的な流れを独自の視点で書いていてなかなか面白いので興味があれば読んでみてください。日本の建築業界の海外戦略などについても)
それによると、そのガラスの箱の祖でもあるミースは、醍醐寺の書院を真似てつくったらしい。
となると、アメリカのガラスのビルは、実は日本のデザインがアメリカを既に席巻した状態で、
それが日本へと戻ってきたとも考えられなくもない。
でもやっぱり、同じようなものが世界のどこでも見られるようになってしまうと、
日本独自のものとは言いにくい。

和の建築をイメージさせるのに最も有効なのは、屋根だと個人的に考えているのだが、
それをうまく高層建築のデザインに融合させているものは少ない。
数少ない例としては、古いものではホテル・エンパイア(大林組)、最近では浅草文化観光センター(隈研吾)などが思い浮かぶ。
日本らしさとグローバル化_b0021501_8362561.jpg

日本らしさとグローバル化_b0021501_837631.jpg

日本らしさとグローバル化_b0021501_8405365.jpg

一方で、いわゆる「和」のイメージ以外でも、日本のイメージが形成されつつある。
これは外国人の友人たちのうち、全員ではないが多くの割合で、現代の東京も楽しんでいるということ。
高密で、人が多くてにぎやかで、いろんな店があって、夜も派手なネオンやイルミネーションがあって、クレイジーで、という部分を。
日本らしさとグローバル化_b0021501_8442581.jpg

これもまた新しい日本らしさなのかもしれないので、過去へと戻るだけではなく、
新しいカタチをつくってそれがいずれ歴史・文化の一部となっていく、というものなのかもしれない。
でもこの場合の「よさ」は、何をどう戦略化して都市をデザインしてゆくか、というところを明確にできていない気がする。
また、東京のように高密化した都市は途上国を中心にこれからどんどん発生してくるので、
そことの違いはなんだろうかと考えたりもする。

意識して考えなくても、結果的に生まれてきたものが、新たな日本的なものなのかもしれないけれど、
丹下健三氏や菊竹清訓氏が取り組んだように、もう一度意識して、日本独自のデザインについて考えてもいいんじゃないかと思う。

# by ogawa_audl | 2010-01-10 08:39