2008年 03月 17日
自室のソファでクッションに埋もれつつジャスミン茶を飲みながら、 スポーツジムで自転車こぎながら本を読む。最近いつもこのパターン。 「生きて死ぬ私(茂木健一郎)」 興味がわいたので、いつもの癖でばっかり食べ。日本で彼の本を数冊購入したうちのひとつ。 若い頃の著書。すごく個人的な体験や思考が並ぶ。 自分が生きているうちになにができるか。 限られた人生で自分の興味を追求する姿勢。 数ある天才の中で、とくに出てこないのが宗教的天才だと言う。 一般に浸透するような新しい価値をわかりやすく創り出すということの難しさ。 「ルポ 貧困大国アメリカ(堤未果)」 新自由主義政策によって始まった一連の流れ。 アメリカ国内のいろいろな問題は実は全てつながっていた。 貧困層、肥満、医療・保険、戦争。 そしてそれは国内に留まらず、世界へと波及している。 民営化の名の下に、一部の大企業が利益を効率よく得るためのシナリオを描き、 それに政府が従い、国民はわけもわからず巻き込まれてゆく。 貧困層(かつての中間層も貧困層に流れている)は、企業と国に使い捨てにされ、 それによって一部の企業は潤う。 貧困層の若者が行き着く先は、兵隊になってイラクにいくしかない、 という逃れられないシステムが出来上がっていることの恐さ。 徴兵制がなくても、政府が格差を拡大する政策を打ち出すだけで、 経済的に追い込まれた国民は黙っていてもイデオロギーのためではなく生活苦から 兵隊に志願し戦争へいく。 これを国家と呼べるのか。文明国と呼べるのか。 大企業が潤うという限られた一点のみが、経済の活性化とイコールとされていることへの 疑問を感じる。 大企業の活性化は国の経済全体が活性化していることと必ずしもイコールではない。 奴隷制は一時期なくなったように見えた。 けれど、システムを介在させることであからさまには見えにくくなっているが、 同じような構図はアメリカで、イラクで、強化されつつある。 これら大企業を支えているのが、実は今まで自分たちが何の疑問を持たずに 続けてきた消費至上ライフスタイルだったということ。 今の自分に出来るのは、とりあえずそういう現実を知っておくこと。 茂木さんは、宗教的天才は長い間ずっと出ていないと書いている。 市場原理主義の弊害が拡大しつつある現在、それに答えられる新たな倫理観や哲学、 ひょっとすると宗教のようなものが必要となるのかもしれない。 この本の内容はアメリカ国外のメディアなりマイケル・ムーアなりの発信によって、 ある程度知っていたものが多かったけれど、まとめて読むとなかなかショッキングだった。 けれど、一方で、「これはおかしい、やばい」と気づいて思慮深く発言している登場人物も みなアメリカ人。 だからアメリカ国内の改善はやろうと思えばすぐにできると思う。 予算を決め、法を定める権限を持つ政府にかかっている。 つぎのアメリカ大統領は心のある人間であってほしい(誰になってもブッシュよりはましだろうが)。 そして政府と企業との関係をどこまでばっさりと切れるのか注目したい。 続いてトーマス・フリードマンの「フラット化する世界・上」を読み始める。 半分読んだけどおもろい。 世界の現場にすぐに飛んでゆくフットワークのよさ。うらやましい生き方だなあ。
by ogawa_audl
| 2008-03-17 12:59
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