2008年 03月 03日
スポーツジムにて、マシンで歩いたり自転車こいだりする時間。 以前は音楽聴いたりしていたのですが、ここ数週間は本とか雑誌を読んでます。 そうすると時間もあっという間に過ぎる。退屈することもない。 家ではネットで面白そうな文章を探しては読んだり。 雑誌やネットで面白そうな本を見つけてはネットで注文したり。 アメリカの本はいつも会社に送ってもらう。 日本の本は日本でまとめて受け取り。 今頃実家には続々と本が届いていることでしょう。 物欲は我慢できるのだけれど、 知りたい考えたいという知的欲求は最近歯止めがきかなくなっている。 それができる時間があるときにやっておかないと、と自分に言い訳しながら。 注文しようか迷っていた本がネットで読めるのがわかって注文せずにお試し。 隈研吾の新・都市論-TOKYO- 以下気になった部分。 東京で騒がれた六本木ヒルズや東京ミッドタウンは、 広場+低層商業+超高層という三位一体のロックフェラーセンターの形式であり、 成長型社会の産物であった。 しかし、その後に訪れた成熟型社会にふさわしい「ビッグネス」を われわれはまだ発明していない。 ミッドタウンは、 とっても洗練されている。 とってもスタイリッシュである。 とっても居心地がいい。 とっても安全だ。 でもその後に出てくる感想は、「で、それで?」 六本木ヒルズとミッドタウン後の東京の再開発は、すべてが中途半端で、 リスク管理に汲々としている。 建築家にとってインセンティブを与えてくれる案件は、 海外か、日本の小さな町や村でしかなくなっている。 都市における「村化」の動きこそ、都市再開発で最も重要な要素。 ある時期、日本人は必死になって都市から「村」を排除してきたが、 それがきわまった時代には、逆に「村」が持つノスタルジーこそが余裕の証となる。 そういう都市の中での村、みたいな場所に対するあこがれ、 志向性というのは、実はずっと持っている。 今、建築界の若い連中だって、実は小さな村的建築を目指しているといってもいい。 その気持ちがすごくよく分かる。 でも東京で手がける再開発プロジェクトが大建築になるのはなぜか? それはスケールという問題の限界。 ある規模以上のものをボロな村として作ることは、まだできない。 東京で村的なソリューションを一からやると、大建築よりもコストがかかるし、 村の駄菓子屋で投資を回収することは、とても難しい。 むしろ「繊細」で「ひ弱」こそが日本人の特質であり、誇りなのである、 と開き直って、そこを極めていくべきではないか。 「コンビニ」「居酒屋」「カラオケルーム」 日本人はこういう匿名の空間を作ることに関しては、抜群にうまい。 匿名なのにリアリティがある。 実際、コンビニにしろ「マツモトキヨシ」や「ブックオフ」にしろ、 ここ10年の間に都市の表面に浮上した空間って、匿名の空間。 ボーダーレスに世界で仕事をすることの利点は、 「部外者」の視点を持てること。 世界のどこも自分の場所ではない、と自覚すること。 自分の家ですら、オレんチではないと知ること。 隈さんも、東京での再開発の当事者であるから、 実現において生じる様々な難題やそのメカニズムがわかっている。 一方で、中国や東欧などの「元気な」都市での仕事もしているから、 そことの比較もできている。 日本で唯一エネルギーの残る都市・東京の再開発の波もそろそろ終わろうとしている。 民主主義が強くなりすぎたので、パリ大改造のようなことはもう不可能。 都市「計画」という言葉が持つ壮大なニュアンスは、もう日本では機能しないのではないかと思う。 都市誘導とか都市縮小とかそんな感じなのだろう。 ちょっとだけ変化を加えていくようなイメージ。 美しいというスローガンによる都市改造の芽も、安倍さんの失脚でつぶれたし、 防災都市という理念での改造も、都市にエネルギーを注入ほどのイメージが浮かびにくい。 どの再開発を見ても、日本独自の魅力的な風景をつくるようなものはまだ見たことがないし。 「ビッグネス」がこれから起こる可能性はないわけではないんだろうけれど、 そのときには経済性を越える強いイデオロギーが必要なんだと思う。 隈さんが考える日本国内の都市の可能性のキーワードは、 「村化」、「繊細・ひ弱」、「匿名の空間」とのこと。 これらは、日本の若い世代のデザインに既に共通して見える。
by ogawa_audl
| 2008-03-03 16:07
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