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2006年 11月 13日
Bjarke Ingels Lecture
1ヶ月ほど前の話になってしまいますが、シアトル中央図書館で2週間に1回行われている
建築系のレクチャーに行ってきました。

主役はBjarke Ingels
BIG(Bjarke Ingels Group)を主宰。

まずは彼がどんな人物か。
20代の頃、レム・クールハース率いるOMAで働く。そのとき、シアトルの公立図書館
のプロジェクトにどっぷりつかっていたため、シアトルにも来ていた。
2001年にJulien De SmedtとともにPLOTを設立。
2006年にPLOTを解散して、それぞれBIGとJDSに。
彼が設立したBIGでは現在60人が働く。
驚くことに彼は現在32歳である。
デンマークで今最も注目されている若手建築家。イケイケである。

さて、レクチャーの内容はというと、主にフラッシュ・ムービーを使って、
分かりやすくも、美しく、ジョークも交えた楽しいプレゼンテーション。
まず、スターウォーズのテーマ曲に乗ってイントロがあるが、
そこでは、
「ディテールのデザインなどにこだわるのではなくて、もっと大きな変化を狙っていく云々・・」
のような宣言が流れる。
次に、彼の出身地であるデンマークについてのリサーチを
分かりやすく面白いビジュアルで見せてくれる。
その後、PLOT時代のものも含めた作品をどんどんと見せる。

彼の作風は、OMAの流れを汲んでいるだけあって、構成がダイナミックで変化に富んでいる。
悪く言えばおおざっぱというか。でも、プレゼンテーションで見せてくれたように、
一見へんてこりんに見えるそのカタチに至るまでのプロセスや考え方を知ると、
聞いているほうは、なんとなく納得してしまうのが、彼のプレゼのうまいところだろう。
建築全体のひとつひとつのパーツに意図があってその形となり、そのパーツが寄せ集まって
全体の建築となっているかのように見えてくるから不思議である。
しかし全体的なカタチの面白さの一方で、空間としてみたときのディテールなどは、
彼の最初の宣言通り、いたって普通だったりかなりシンプルだったりする。そっけないくらいに。
デンマークのデザインともいえるのかもしれないが。

コンセプトをつくり、物語にし、それをカタチにする。
そしてプレゼンテーションではその全体のプロセスを
非常にわかりやすく美しいビジュアルで見せている。

ランドスケープ-都市-建築-インテリア-衣服
のように、人の身体を取り巻く空間にはレイヤーがあるが、
彼は、都市-建築の中間帯に最も興味がある人なのだと思う。
都市の隙間を埋めるような発想もところどころに見える。

そして、なによりも「つくりたい人」なのだと感じた。
自分のアイデアをなんとかカタチにしたい。建てたい!
だから、例えばある学校の施設が途中で流れてしまったとき、
同じアイデアを、同規模の国内の学校に売り込んでいく、ということもしている。
さらにそれがダメなら、対戦型テレビゲームの3D世界として実現する。
このエネルギーはすごいな。
グローバリズムに対応した建築家といえるのかもしれない。

by ogawa_audl | 2006-11-13 06:41


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