2006年 06月 11日
では改めて、Thesis(修士設計)について。 まず、UWのThesisがどんなものかというと、大学院の最終年に、まず夏、秋、冬の いずれかの学期にリサーチをし、ある程度のレベルまでドキュメントにまとめます。 で、春学期の9週間で、デザインを一気に仕上げるという流れ。春学期は同時に ドキュメントの総仕上げも課せられます。作業はひとりでやるのが基本となっているので、 プレゼン作業も全て自分ひとりでやることになります。このあたりは、日本の大学の 卒業設計との大きな違いかもしれません。 あと、東海岸の多くの大学がセメスター制(2学期制)をとっているのに対し、UWは クォーター制なので、デザインにかける時間が少し短いかと感じました。 (ある先生はリサーチをする学期の最初のアイデア提出のときに、最後の設計じゃないのだから 小さくしなさい、みたいな発言をしました。それを聞いて僕は唖然としましたが・・最初にそれを言っちゃあ・・ねえ) これに関しては数年前まではもっと時間をかけていたらしいのですが、僕が入ってきた年から 短くなったようです。聞くところによると、また近々、以前のように2クォーターくらいデザインに 時間をかけるようにシステムをもとに戻すような話があがっているようです。 在学期間を短くして、学生をどんどん卒業させるのが今のシステムの狙いのようですが、 それによって、最終的な作品が小さくなってしまうと、外部からの評価ははたしてどうなのだろう か、と少々疑問に思うところもあるので、僕はもとの時間配分に戻すのもいいのではないかと 思っています。 まわりの学生を見ていて気になったのは、皆最初のとっかかりは早いのですが、その段階で あまりじっくりとコンセプトについて考えないので、あとになって結構普通のものとか、あまりにも おおざっぱなものが出来上がってしまっていることが多い。現在建っているものの焼き直しと いうのはちょっと見ていて物足りないかな、とも感じます。せっかく学生が設計するのだから、 世の中にちょっと無いようなものを期待したいのですが。このあたりは、学生本人の責任とも 言えるし、指導する教師の責任でもあると思う。時間を守ってプロダクティブにつくるのも わからないではないけれど。 あと、なんとなくリサーチを含めてのプレゼンを見ていて、現在の建築の前提を絶対的なもの として全く疑っていない、というもの感じました。これも焼き直しにつながってしまっているのかな、と。 アメリカ社会が建築界を保護しているから、疑う必要もなくなってしまうのかもしれません。 次回は自分のプロジェクトについて書きます。ちょっと休憩。
by ogawa_audl
| 2006-06-11 13:27
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