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2009年 06月 14日
Grasshopper + Rhinoceros
Rhinocerosという3Dソフトウェアに組み込まれているGrasshopperを使おうという講習会が会社であったので参加。
2日間にわたり午後をまるまる使って。先着で10人くらいが社内から参加。だいたい若い連中が集まる。

講師は、ワシントン大の建築の修士設計で、Grasshopperに特化した形態の作り方についてまとめた若者Scott。
現在は、ワシントン大で3Dなどの授業を教えながら、コンピュータサイエンス学科でさらなる研究をしている。

とりあえず、Grasshopperて何?

生成アルゴリズム(ジェネレーティブアルゴリズム)を使って新しい形状を生み出したいデザイナーのための、
Rhinoの3Dモデリングツールと統合したRhinoで動作するグラフィカルアルゴリズムエディタプラグインです。
Rhinoスクリプト(RhinoScript) とは異なり、 Grasshopperを使えばプログラミングやスクリプトの知識がなくても
ユニークな形状の生成ができます。
(McNeel Wikiより)


イメージとしては、植物の葉ように、あるパターンを繰り返しながらもそれぞれが環境にあわせて少しずつ変化している
ような形態をよりフレキシブルにつくるためのツールです。
いろいろな条件や変数を作り出すボックスをプラグでつなぎながら、最終的なカタチのためのプログラムを
つくるような感じでしょうか。

イメージとしては、こんな感じ

プログラムを実際に使っているときの画面はこんな感じ

Grasshopperで描かれたビジュアルなプログラムは脳のシナプスのつながりのようにも見えます。
便利なところは、途中の条件や変数を後から簡単に変えることができ、その度に、カタチが自動的に変わるところ。
また、そこから、現実に「建てる」ときの部材をすべて容易に生み出してくれます。

部材の生成が、コンピュータとのリンクによって、自由な寸法で得ることができるようになったので、
こういったプログラムによる実際の建設もリアリティを帯びてきています。

Grasshopperを使ってみて思ったのは、これまで「コンピュータの中だけ」で表現されてきた有機的な形態というイメージから、
実際の「モノ」の世界へ近い存在になってきているということ。
ここでは「その不思議なカタチ、実際にどうやって建てんの?」という疑問はもう存在しなくなります。
これまでの3Dソフトが、「ちょっと変わったカタチ」をつくりだすのがメインだったところから、
それをどうやって建てるか、というレベルへとつないでいるソフトウェアと言えるようです。

また、それぞれの部屋のカタチが違うけれど、面積はどの部屋も同じ、といったような条件も
容易に満たしてくれます。

またもうひとつの重要な点は、環境デザインへの対応。
太陽光の動きや、風向きなどの複数の変数を加えても、それに対する最適解を形態的に生み出す。
建築表面の開口部は、そういった変数により場所によって大きさやカタチが少しずつ違ったりする。植物の葉のように。
一見不思議なカタチに見えても、環境的には文句なしのカタチになっているわけです。(視覚的に気持ちよいかはまた別ですが)
環境という点に鋭い目を光らせる最近のクライアントへの説得力を持つことは間違いないでしょう。

聞くところによると、このGrasshopperというプログラムは、建築関係者が創り出したプログラムとのこと。
一般に広がりだしたのは1年半前くらい。
先端の建築大学では既に授業で取り入れられたりしているようです。

うちの会社も、こういった勉強会を持って投資しているわけですから、
近い将来仕事の中で使っていこうということなのだろうと思います。
4,5年前から少しずつ使い出したBIMも、今では社内のほぼ全てのプロジェクトで使われています。
Grasshopperも数年後には図面として現れてくるような気がします。

覚えるのに苦労しそうなソフトウェアではありますが。。
絵というよりは、数学的な画面だったりします。
シナプスを眺めて、それをつないで、出来上がるカタチを確認する、みたいな。
とりあえず、2日間では、原理はわかったのもの、使いこなすには程遠い。。
講師のScottも、夏休みの間とそれにつづく学期の間ずっと使ってみてようやく使いこなせるようになったらしいです。

実際にでかいプロジェクトを全部Grasshopperで進めるには、そこに携わる多くの人間が慣れるための移行期間が必要な気がしますが、
とりあえず、建築のパーツの一部に対しては今からすぐにでも使える気がします。
たとえば、建築の外皮を覆うパネルのパターンとか、サンシェイドとか。あるいはインテリアデザインの一部など。

また、Grasshopperをマスターしておけば、しばらくそれだけで仕事になりそうな気配があります。
うちの会社が、このScottを雇おうと考えているらしい、という噂も。
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by ogawa_audl | 2009-06-14 01:48
2009年 06月 08日
ポートランド建築・都市めぐり
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建築飲みトモダチのDanにより企画されたオレゴン州ポートランドの建築・都市ツアーへ。
Danはポートランド出身でありこの街をこよなく愛しています。
ほかの参加者は、彼と同じ事務所に短期でカナダから手伝いに来ているIvanとTom、そしてAnimishと僕。
金曜と土曜に二泊。

ポートランドは、川に面した街。
大雑把に分けると、川の西側のダウンタウンエリアと東側の住宅エリアから成っています。
土曜日にはちょうどホテルの部屋のすぐ下の通りで、バラ祭りのパレードが行われていて、にぎやかでした。
僕らはパレードを横目に、Danの解説を受けながら、建築やら街やらをずんずん歩いて回っていました。

ほかには、彼が去年まで学んでいたオレゴン大の建物を覗いたり。
チャイナタウンの近くのレンガ造りの建物をリノベーションして使っています。リノベーションの成功例。
この建物には主に都市寄りの建築と、ビジュアルアートが入っています。
ちょうど卒業式の日で、Danの先生たちと話す機会も。
ひとりの先生の話によると、今ポートランドの建築家(インターンも含めて)のうち、なんと50%が失業中なのだとか。
ポートランドの不景気の話は聞いていたものの、そこまでとは、と驚く。
また学期末ということで、学生たちの力作が展示されていたので、見て回りました。
建築以外にもビジュアルアーツの作品もかなり楽しめました。

チャイナタウンでちょうど2週間の展示をしていたシアトル在住の照明&着物デザイナーのユリさんのところにもお邪魔。
いつもながらパワフルでございました。
彼女がPingというレストランの照明デザインの仕事を通して知り合ったという人脈の名前に、
Danは驚いていました。この街ではものすごく力をもったひとたちのようです。

ダウンタウン周辺のほかには、川の東側の住宅地に点在するいくつかのコミュニティで起こっている
店舗や集合住宅を中心とした盛り上がりや変化を見に行ったり、昔からの高級住宅地を車から眺めたり。

日の出ている時間帯は外を歩き回りましたが、暗くなってからはいつもどおりレストランやらバーやらクラブやらをはしご。
でも、Danのセレクトなので、空間的にも味的にもそれぞれに特徴のある場所へ。




ポートランドの印象としては、NYとか日本の都市に近いように感じました。
まず、ぱっと目に入る情報量が多い。
通りに面して、センスのいい店がならんでいる。
シアトルのダウンタウンに比べて、車道が狭く、街で感じる密集度が高い。
多様な文化が集合している。
駐車場には主に飲食系の露店が並んでいる。

インダストリアルな雰囲気をうまく活用してリノベーションも多い。

ダンがシアトルに不満をもらすのも理解できました。
なんというか、ポートランドのほうが、多様性があって選択肢が多くてしかも質もいい、気がする。
街の活気もあるし、歩いていて楽しいし食べ物もおいしい。

Danが言うには、シアトルの街で見かける若い人たちは、やたらタトゥーを入れているけれど、
ポートランドではそこまで派手なタトゥーを入れているひとはあまり見ない。
実際に街を歩いてみて、確かにそうだなと感じました。

もうひとつついでに、Danはポートランドのほうがシアトルよりも美人が多い、と力説。
うん、まぁそんな気はした。




日曜の晩にシアトルに戻ってきて感じたのは、
もちろんなんとなくはじけていないというのもありますが、
歩道に面して、ソリッドな壁の割合が、ポートランドに比べて高いと感じました。

シアトルとポートランドの差を生み出している最大の要因はなんだろうか、と考えています。

1ブロックが小さい、車道が狭い、露天が認められている、という都市計画上の要因。

もともと街がつくられたときの一軒一軒の建物の幅が狭かったという歴史的背景。

消費税がない、ということからくる、買い物とそれに付随する店舗へのインセンティブ。

NYなど東海岸から西海岸へ来る若者はポートランドを選ぶひとが多いと聞いたこともあります。
それにより、文化やセンスが生活スタイルが持ち込まれるということもありそうです。



それから僕が感じた仮説のいくつか。

シアトルの街では、ビュー・コリドールがよく効いていて、通りの先には、ずばっと海や、山並みや、森が見えたりする。
もう、それだけで結構気持ちいい。視線の向きとしては街を囲む自然へと向かう外向き。
だから、すぐ近くの建築とかお店といったものには、それほど手間をかけないでもいいじゃん、
みたいな意識が多少働いてもおかしくないなと。

一方、ポートランドの街では、通りの先には、インダストリアルな見た目の橋が見えたりする。
それはそれでかっこいい。けど、大自然のような壮大さには欠ける。
ビュー・コリドールの対象がすでに人工物。
それによって、すぐ手元の環境の向上にも意識が向く。
つまり街の中の空間や場所作りが大切になってくる。
視線の向きとしては、街の中心へと向かう内向き。

シアトルはお父さんの街。
郊外の某大企業で働きばりばり稼ぐお父さんたちは、家も自然豊かな郊外。
子供を中心とした家族のためにはその環境が一番なので、
街の中心部を盛り上げようという意識は働きにくい。
都心居住もシアトルではようやく始まったところ。

一方、ポートランドはお兄さんの街。
最先端の服を着てハイセンスなレストランへ行きたいし、
かっこいい場所を街で見つけてみんなに教えたい。
仕事の後も、若い奴らとわいわい盛り上がりたい。
部屋も当然にぎやかな街の中心部に住みたい。

二つの街を比べてみて、そんな風に感じました。



どうやったらシアトルの街はポートランド的な雰囲気を獲得できるのか。
シアトルとポートランドの違いに関しては、またいろいろ周りの友人達と議論してみたいです。
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by ogawa_audl | 2009-06-08 17:29
2009年 06月 04日
アツイっす
基本的に夏でも爽やかな気温のシアトルですが、
今日は、外にでると、ムワっとするくらい暑かった。
日本の夏を思い出しました。
でも、雨よりはよっぽどいいので、夜9時過ぎまで明るい長い夕方を楽しんでいます。

ここ最近のあれこれ。

あれこれ1
コンペ結果出たもののふるわず。
全エントリーが見れます。(miami > competition resultsの順にクリック)
みんなレンダリングのレベル高いですな。
ヨーロッパはもちろん、南米にもツワモノたちがぞろぞろいますね。
シャープできれいなデザインが好まれたようで。
レイアウト、建築外観をもう少し大きく見せるべきだったか(反省)。



あれこれ2
また別のコンペに誘われて、半歩下がった感じで参加。

初の


ファッション!?


のデザインです。

シアトルの設計事務所を対象にしたファッションデザインのコンペ。
各チームは、主催者から割り当てられた建築マテリアルの会社と組んでやります。
うちの事務所は、カーペットを主につくっている会社とのチーム。
分厚いカーペットで、なにができるやら。
8月末に、でかい場所を借りて、ファッションショーもやるみたいです。
10人弱くらいの、大人数のチームなので、でしゃばらない程度で、軽めに参加しています。
ファッションとなると、女の子たちのテンションとやる気がすごいので。
インテリアの子とかアーバンデザインの子とか、社内でもいつもお洒落にキメているギャルたちが
メインで動いてくれています。会社内に彼女たちの自前のミシンが二台あります。
コンセプトはアーバン・ノマド、みたいな。



あれこれ3
少し前になりますが、AIA Seattleのデザイン・サロンというのに参加。
ダウンタウンの美術館のレストランの一角を借りて、
ゲストを呼んで話を聴きながら質問したりディスカッションしたり、というもの。
平日夕方4時からワイン飲みながら。

この日のテーマは、政府系建築(庁舎とか裁判所とか)のデザインの傾向を考える、というようなもの。
発表者は3人いましたが、メインのEd Feiner氏は、少し前まで、AIAの代表としてアメリカの連邦政府の建築を
とりまとめていたような、政府と太い太いつながりのある建築家。
聞くところによると、この日のサロンを主催した某PW社が、マーケティングの一環として、
彼をシアトルに招いたそうな。コネをつくって政府系のプロジェクトをもらおーう、みたいな。わかりやすいです。

彼の発表はなかなか面白かったです。
政府系建築の特徴と変遷はこんなかんじ。

永続性を求めて、石などの素材が好まれる。
最初は「円柱」が象徴的に多用される。
(一時期モダニズムの影響下で四角い箱型建築も建てられる)
次第に複数の円柱列だったものが、一本の巨大な「円柱のビル」も登場。
市民が政府への疑念を抱くようになってからは、「透明性」が象徴的に多用されるようになる。つまりガラス。

今のところそんな感じのようです。言われてみると確かに。
この後、透明性は本当に建築だけで獲得できるのか、など議論も。

また、「次のトレンドは?」
という質問に対し、まだその答えは誰にもわからない、という返答。
それは実は設計する建築家たちに委ねられているようで。

ひとつの傾向としては、サステナブルな要素を前面に打ち出して、
税金を払う市民に納得してもらおうというパフォーマンスが感じられます。経験上。モーフォシスもそうだし。

発表の中で、「庁舎とは本来、市民がコミュニケーションする場所だ」、というフレーズがあり、
なるほどな、と思いました。
あちら側ではなくて、もともとはこちら側にあるべき場所なのでしょう。

終わってから15人くらいでレストランで食事のあと、
いつもの建築トモダチ3人でバーへ行き、飲みながらあれこれ議論。
コミュニケーションについて、今はスカイプのようなものもあるし、ブログもあるし、
仕事でもウェブカムを使って画面を見ながら会議をしているから、
コミュニケーションのための建築空間はなくなるんじゃないかと
ひとりが言い出す。
そのあと、あーだこーだでもう一杯。
でも結論としては、今、こうして、カクテル飲みながら議論しているようなことは、
ネット上では同じようには起こりにくいのではないか、ということで納得。
やはり顔を向き合わせて生で話し合うときと、ネットで話し合うときとでは、
スピード感とか話の飛躍とかに差がある。
それを生み出しているものが一体なんなのか?はそのときは3人とも酔っていたし
はっきりとした答えは出なかったけれど、そこになにかヒントがあるんじゃないか、
という共通認識は持てたようでした。

酒飲みながら、というのもひとつの要因ではあるんでしょうけど。
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by ogawa_audl | 2009-06-04 15:52