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2004年 12月 31日
年末
家庭の事情もあって少しだけ帰国していました。そして今はまた相変わらずグレーな空のシアトルです。短い滞在だったのでばたばたとしていましたが、いいリフレッシュとなりました。ほぼ空っぽで持って帰ったスーツケースには日本食と本を詰め込んで戻りました。さらに船便とアマゾンを使って後日大量に本が増える予定。秋学期は本を読むほどの余裕がなかったのですが、正月3日から始まる冬学期には本を読む時間も作らないとなあという感じです。

関西に滞在中、末包先生に建設中の夙川の家を見せていただきました。現場ではSIMPLEX(http://www16.ocn.ne.jp/%7Esimplex/)の山崎さんにもお会いできました。相変わらずお忙しそうです。bindは外観からしか見たことはないので、正確に比較することは難しいのですが、どちらも同じように一見シンプルな構成をしているのですが、空間体験は場面場面で様々な表情を見せるという印象です。bindは水平方向のシークエンス、夙川は垂直方向のシークエンスという違いはありますが、どちらも根本的な設計手法(シンプルな構成で複雑(多様)な内部空間)は共通していると感じました。また、bindは一体となった大空間という印象ですが、夙川では各室が3枚の壁によって分節され、独立した室の集合体という印象で、このあたりは芦屋の家のイメージとの共通点を感じました。スラブを傾けるだけで、内部の印象はこうも変わるのかというのが個人的な発見でした。階段部分の構成やそこからの景色もきれいで、そこだけ見ると、家というよりは美術館のようです。各部屋もそれぞれ表情が違っていて、「部屋」というより「空間」という印象でした。建設中の基礎部分を見てしまうと、空から舞い降りたというよりは地中からむくむくと立ち上がって来たというイメージを受けましたが、竣工時にはもっと軽い印象になるのだろうと想像しています。
この構成を垂直方向に繰り返し延長させて都市部のビルに応用したら、ビル街の表情や内部からの見え方も変ってきておもしろいかもなあ、なんてことを帰りの電車の中で考えたりしていました。
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by ogawa_audl | 2004-12-31 15:27
2004年 12月 18日
Final Review Tour
この時期いろんなスタジオのファイナルレビューや修士設計の発表が行われているので、うろうろと見てまわりました。それぞれに個性的でしっかりとまとめてくるという印象。手描き図面をPhotoshopで加工する人、スケッチを加える人、水彩画を加える人、小さな絵本風にまとめてくる人、CG中心で仕上げる人、プロジェクターを使ってCGのムービーで発表する人など様々。模型は誰もがそれなりに作ってきています。特に修士設計の模型は完成度が高かったです。木で精巧に作られた全体模型に加えて、様々な素材を組み合わせた実寸の部分模型なども見られました。全体的なデザインの傾向としては、直線的で正直なデザインが多いという印象です。ぐにゃぐにゃしたものは見かけませんでした。空間の塊(medium)があってそれを構成材で覆うというよりも、構成材を組み合わせた結果として空間が出来上がる、という作りかたをしているような傾向が感じられました。これはアメリカのNWで最近作られている新しい作品(多くが地元の大規模組織事務所による)に共通して見られるような気がします。ぱっと見は清潔感があってきれいなのですが、驚きや感動がない。講評を聞いていると、実際に建てるときを考えて材料や工法なども質問されるので、その辺がデザインにも影響しているのかもしれません。堅実な土地柄。
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by ogawa_audl | 2004-12-18 01:07
2004年 12月 16日
秋学期終了
本日のスタジオの授業をもって、今学期の全日程が終了しました(大学は17日まで)。初ものづくしの最初の学期がなんとか無事終わろうとしています。この後は多くの人がクリスマス休暇で地元に帰るようです。プレッシャーからは開放されたのですが、急にやることがなくなって逆に落ち着かない・・。ということでいろいろ思い出しながら今学期を通して個人的に感じたことを書いてみようかと思います。いちおうreportということになってますしね。

9月末から授業が始まっておよそ2ヶ月半。最初の1ヶ月は大学のことに加えて生活全般に関してもどこになにがあるやらわからないことだらけで右往左往していたように思います。その後ようやく全体像がつかめてきてある程度落ち着いてきましたが(ひとつ上の学年に日本人の方がいらしたのでいろいろ教えていただきました)、相変わらず授業中の英語には苦労していました。各授業では課題等が結構出されたため、週末も時間に追われていたように思います。そうこうしているうちにミッドレビューがあり、そして気づけばファイナルレビューが近づいてくる・・といった感じでした。サンクスギビングの4連休が唯一休みらしい休みだったように思います。スタジオ以外にもイラストレーションのクラスで絵をいっぱい描かされたので、毎回その提出もなかなかハードでした(楽しかったですが。個人的にはウォーターカラーにはまりました。S.ホールの画集を眺めながら真似してみたり)。スタジオは少人数ということもあって、他の学生と仲良くなることができました。苦楽を共にしただけになおさらそうなのかもしれません。正直なところ、渡米前はアメリカに対するイメージはかなり悪かったのですが、いい人たちにたくさん出会えたことで、そのイメージは多少改善されました。おかしいのは一部の国のトップの方々であって、多くのアメリカの一般市民は親切でまともな人が多いのではないかと思います(特にシアトルは)。
ここからは項目別に簡単にまとめてみます。あくまで僕の感想なので一般解ではないかもしれませんのでご了承ください。

アメリカの大学と教育について
いくつかのパターンがあるらしいのですが、ほかの大学のことはよく知らないので、UWのことについてですが、学部は1,2年は専攻を決めずに勉強し、3年から各専攻に分かれるらしいです。建築に入るには絵がある程度できないといけないとかきいたことがあります。学部4年で卒業後は、就職するか大学院に行くわけですが、日本に比べて働く人が多いようです。ストレートで大学院に来る人のほうがずっと少ないかもしれません。また、多くの大学院生は学部をほかの大学で卒業している人が多いようです。大学院では僕でさえ若い方の年齢だと思います。結婚している人とか、子持ちとか、長い間別の分野で働いていたひとなど、さなざまなひとが大学院生として一緒に学んでいます。建築教育のバックグラウンドがないひとには3年間のコースもあり、同じような授業をとります。いろいろな選択肢が用意されている国だと感じます。
1年間の授業の流れは、9月末に秋学期がはじまり、1月から冬学期、4月から春学期で、6月が卒業式シーズンといった感じです。夏はサマースクールで授業も取れますが、多くの人は長い夏休みでしょうか。各学期は2ヵ月半で、その期間に集中して何かを学び取る、という雰囲気です。短期間に集中的に学ぶため、課題なども多く忙しくなるのかもしれません。授業は選択してとるのですが、1学期に3つか4つくらいが平均的なようです。その代わり、各授業はだいたい週に2回以上はあるようです。
教職員は日本に比べて専門職にはっきりと分業されている印象です。1人の先生があれこれやるのではなく、それぞれの分野にそれぞれの専門家がいます。たとえば、パソコンのことはこの人に聞け!みたいな感じで。(その分人件費がすごそう、とか考えてしまいますが、学費を考えるとやや納得。)

アメリカ人大学院生について
さきほども述べましたが、さまざなな年齢のひとが集まっています。平均して多いのはやはり20代半ばから後半くらいなのですが、40代50代もそれほど珍しくないように感じます。ここでは働いてから大学に「戻る」という感覚のようです。そのため、学生が教授より年上だったりすることが当たり前のように生じています。日本で同様のことが起こるといろいろ難しそうですが、この国でこれを成り立たせているのは、言語を中心とする文化的背景ではないかと想像しています。ここでは年齢や立場に関係なくほぼタメ口でみんなファーストネイムで呼び合うため、年の差があっても気づけば友達感覚になっています。この辺は日本では無理だろうなあ、と思ってしまいます。また、そんな人たちが集まっているので、皆真面目に勉強に取り組んでいる印象を受けます。(でも逆に、中年のおっちゃんがまわりを笑わすために敢えてあほなことを平気でやってしまう一面があるのも事実。)

UWの建築について
アメリカ人の学生に言わせると、UWの建築は、アメリカの中ではエンジニアリングとアートの中間くらいらしいです。例えばもっとアート寄りの学校もあるように(サイアークとか)。デンマークから来た学生に言わせると、ものすごくエンジニアリング寄りだと感じるらしいです(彼の学校は国の芸術院に属するそうな)。そして神戸からきた僕の感想はというと、ややアートの匂いを感じます(でもものすごくアートという感じでもないですが)。その要因は、まず、工学部のなかの建築ではなくて、独立した建築都市計画学部であるということ。それから、授業のなかに、絵を学ぶクラスや写真を学ぶクラス、家具作りを学ぶクラスがあることがそう感じさせる要因ではないかと思います。またスタジオが広いのも理由のひとつかもしれません。しかし一方で、照明、材料、構造、事務所経営といった、実務的なクラスもあります。
この大学の現在の流行は、「環境」ではないかと思います。論文のテーマとか授業とか学生の話題などで、「サステナブル」「緑化」「ストローベル」などの言葉をよく耳にします。そのため、材料や工法にばかり意識が行っているような気が・・。同時に空間も考えたほうがいいとは思うのですが。
他のスタジオを含めて見たり聞いたりして発見したことは、ここでは手描き図面が半数ぐらいいるという事実。CADもつかえるけど敢えて手描きというひともいるようです(一方でAutoCADやFormZのクラスもありますが)。また、模型がほぼみんな茶色い。つまり白いスチレンボード(こちらでは同様のものをフォームコアと呼んでいます)の模型はほとんど見かけません。だいたいダンボールとかその他の茶色い厚紙か、木で作っています。それに開口部には窓を入れずにそのまま四角い穴だったりするのが当たり前のようです。別にスチレンボードが手に入らないわけではないのですが。その理由をある学生数人に尋ねたところ、「汚れやすいから」という答えが返ってきました。

シアトルの街について
雨が多いのは事実です。特に冬は。でも室内にいればあまり気になりませんし、緯度のわりにはかなり温暖だと思います。一日のうちでもたまに日が差したりするので、想像してたほど雨は気になりません。2、3日のサイクルで晴れた日もやってきます。
街の中心部は高層ビルが集まっていますが、その周辺は森と湖に囲まれた住宅地という風景です。全体的にあちこちに起伏がある街なので、車がないと身動きがとりずらい街かもしれません。
建築的にはやや保守的な印象で、奇抜なものや新しいものはそれほど多くないかなあと思います。有名どころを見ようと思ったら、OMAの図書館を見て、ホールのチャペルを見て、気が向いたらゲーリーのEMPを見るくらいしかないかもしれません(ホールのベルビューの美術館は建設にお金がかかりすぎてその後の経営が成り立たず閉鎖・・)。でも一方で、シアトルは芸術に理解がある土壌だとも聞いたことがあります。近々シアトルの街並みについては写真を含めて紹介しようと思います。
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by ogawa_audl | 2004-12-16 16:57
2004年 12月 15日
スタジオ、その後・・
スタジオのほうですが、先週末の金曜に学生とDana(学生に理解があるほうの先生。Mikeのオフィスの一員でもある)とともにひそかにco-designをして、それをMike(ボス)に提案してもうらうということをしました。そして月曜にはMikeのオフィスでまとめてきた3案とDanaが個人的にまとめてきた3案をスタジオにてピンナップレビュー。その後、学生のBrianとGregがついにはっきりとMikeに物申し、激論に。でもいずれにせよMikeのオフィスで設計が進むようです。興味があるなら来学期の週末などに設計のプロセスに参加したらどうかと、Mikeは言ってくれるのですが、それはちょっと違う気が・・。それでは完全なお客さんになってしまうでしょうし。
来年の夏の現場もスタジオのひとつとして設定されており、当初は全体のプロセスを経験できるので参加してもおもしろいかと思っていましたが、今は断念かなあと思っています。(それに彼のデザインはちょっと・・無駄のない機能的なプランにばかり意識が行き、それ以外が置き去りにされている気が。最終的にはつぎはぎの立面になってしまっているような。周辺環境に対する意識も欠如しているし。)
今回の設計は自分の中ではポートフォリオ行きということで決着。フィートやアメリカの住宅プランに慣れるという意味では得られたものもあるので、それでいいかな、と前向きに捉えることにしました。スタジオを通していい友人もできましたし(これが一番の収穫かなあ)。
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by ogawa_audl | 2004-12-15 12:15
2004年 12月 10日
Final Review
建築学生のメインイベント、スタジオのファイナルレビューが終わりました。この一週間はスタジオで暮らしていたようなものでした。アメリカ人は遅れ気味であろうがきちんと家である程度の睡眠をとるので偉いなーと感心しながらも間に合うんかなーと思って見ていました。徹夜などはあまりしないようです。

ファイナルレビューには、学内の先生が数人と、担当教官のMike(Michael Pyatok)のオフィスの若手が2人、住宅供給会社から1人(&8歳の娘さん)、他のスタジオからの学生数人が外部から来ていました。ソファに座って飲食をしながら講評という風景です。一人当たりの発表時間は人数が少ないこともあり、特に制限はなく、講評も含めて平均して30分くらいだったと思います。これだけあると見せたいもの言いたいことを全て伝えることができますし、説明しながら議論を始めたりということも可能です。それに早口じゃなくても済みますしね。あの聞きなれたチーンはないです。

今回選択したスタジオの内容は低所得者向けの住宅をサステナブルデザインを含めて設計するというようなものでした。当初のシラバスによると、今学期の途中から学生が共同設計をし、来年の夏にはその住宅が建てられるというものでした。共同設計にはならず、最終的には各自がそれぞれに設計をするというかたちになっていました。住宅供給会社が関係しているため、予定などが何度か変更しましたが、それはしょうがないとしても、ファイナルレビューの直前のスタジオの授業でMike Pyatokが次の週末に自分の事務所で設計してそれを建てると言い出し、co-designについてある学生が質問すると、次の1週間にそれぞれが設計したものを1冊の本にまとめるから、それがco-designだ、と言い出したことには学生皆憤慨。これに関してはもう1人の担当教官のDana(彼女は学生の良き理解者です)とともに今も議論が続いています。おそらく来週のStudioの授業で何らかの答えが出ると思います。実際に建てられるというそのプラクティカルな面に惹かれて選択したのに(Mikeのデザインは僕の好みではないです)、最後の最後でモチベーションを下げられてしまったのが残念です。ややだまされたような気さえしています。最初からそう言っているのならわかるのですが。共同設計の方向に持っていかなかったのもそのためではないかというのが学生の意見。もちろんこのプロジェクトを通して学んだことも多いのは確かではありますし、低所得者層に限られた予算の中でよりよい住宅を供給するという彼の理念はすばらしいとは思うのですが。うーん・・・
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by ogawa_audl | 2004-12-10 12:29