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2006年 06月 12日
Design Thesis 4
ローマ・プログラムを通して考えるようになったのは、とくに’時間’についてでした。
紀元前のものから、数十年前のものまで、様々な時代の建築を訪れてみて、
それらが現在どのような状態になっているか、興味深いものがありました。

完全に姿を消したもの、
遺跡や廃墟となって緑に覆われ大地に帰りつつあるもの、
観光資源として保存されているもの、
形を大きく変えながらも使われ続けているもの、
何度も塗り重ねられるように更新されて、街全体が建築群となっているもの、
内部の機能は何度も変わりながらも、建築としての形はほぼかわらないもの、
などなど。

こういうものを見ると、出来た当初の機能とかプログラムと言うのは、
極端に特化した機能をもつもの(お墓とか)意外は、用意に変えられることがわかります。
でも、機能が変わっても、あるいは廃墟となっても、開口部が巧みに考えてあれば、
空間内部に入る光の質は失われない、というのが発見でした。
空間の質に寄与するマテリアルとかは、お金をかけていいものをそろえることが
できるけれど、時間が経ったらそれは風化していた。光は、開口部さえ取れば、
タダで、ほぼ永遠に同じ質が保たれるのがいい。

現在の消費社会においては、建物は簡単に取り壊されているけれど、
もっと長い時間のスパンで考え、出来ればその建築が命を全うして大地に溶け込んでいく
姿まで想像して計画できたらいいなあ、とそんなことを考えたりしました。

by ogawa_audl | 2006-06-12 22:42


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