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2009年 09月 15日
快楽と空間
快楽と空間について少し考えてみたんですが、
これはまだまだ突っ込んでみる価値がありそうな気がします。

もともと生存のほうに属していた食事は、
今や栄養をとるという主目的よりも、味や見た目を楽しむという快楽への比重を増してきています。
睡眠なども、快楽への価値が生み出されつつあります。快眠グッズとか、特殊なマットレスとか。
服も防寒や防御よりも、ファッションを楽しむという快楽へとほぼ移り変わっています。
体を衛生に保つという上でのシャワーも、日本では湯船に使ったり温泉に行ったりと快楽の比重が大きい(この点で日本人は上手い)。

衣食住・衛生・睡眠の多くが快楽へと比重を移してきているけれど、
空間はまだまだそこまで行っていないように見えます。
もちろん、素材やデザインに趣向をこらした高級な飲食店やホテルなどはありますが、それらでは
「あぁワタシ贅沢してるワー」
という意味での快楽のほうが強くなっているような気がしないでもない。

「食事もサービスも何もなくてもいい。ただここに座っているだけで心地いいワー」
という空間というものにはなかなか出会えない。そもそもその指標がいまいちはっきりしていない。だから研究してみる価値ありなのかもしれません。
温度湿度酸素はもちろんとして、広さ・高さ・気積なのか、明るさや暗さなのか、色なのか、日光なのか、窓からの景色なのか、
肌に触れる素材なのか、奥行き感なのか、見え隠れなのか、それともそれまでの経験による個人差が大きいのか。

私個人としては、屋外空間に「なにもいらない、ただここにいることが心地いい」と感じる経験のほうが多いのですが、
その場合はそこにある要素を室内空間に持ち込んだらいいだけなのかもしれません。




追記:
後日この快楽と空間というテーマについてある後輩の方からメールをいただきまして、
自分の中でももう少し明快になってきました。感謝。
彼女の超個人的感性から発せられる言葉は核心をついていることが多いと感じます。

快楽には、マッタリ系とノリノリ系があり(あるいは昼寝とトランス)、
どうやらノリノリ系で何かこれまでに見たことない空間ができないものか、と自分は考えているんだな、と。
マッタリ系だと従来の空間の延長線上から抜け出せない気がするので。

少し話は変わって、
最近の商品の傾向として、健康というのがやたら目に付くようになっている。
健康という本来意識するべきでなかったものが、社会の不健康化によって、
快楽のひとつであると気づき出したようだ。
旨いものが必ずしも体にいいというわけではないのだ。

by ogawa_audl | 2009-09-15 14:39


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